Interview : kirill

 作家インタビューの第二回目は、MBFに色々助力を頂いているkirillさんにお話しを伺っていきたいと思います。

○書き始めてどれくらい?

 ──書き始めてどれくらい経ちます?

  初めて本を書いたのが2005年11月だから……2年半、かな。

 ──その初めて書いた作品はどこかで発表しました?

  出したよ。
  ちょっと作家名は違うんだけど、本の即売会的なもので売ったこともあるし、委託販売したこともある。


 ──その作家名でどれくらい書いたの?

  2、3作書いたけど、売ったのは1作だけ。
  でもそのキャラ、そんな真面目に本を書くキャラじゃなかったから、すぐに別のキャラ──つまりキリルを作ったん。


 ──そうなんだ? じゃぁ、改めて。キリルを作ってから書いたのはいつ頃?

  キリルで初めて書いたのは、2006年の5月くらいだよ。
  『Kirill』ってキャラを本用っていう位置づけにして、更にそれようにブログとかも作って。
  で、ちょっと前から興味あったRPにもついでだから『Kirill』で挑戦したんだよね、RPしちゃおっかなって軽い感じで。

 そんなときに初めて行ったRP酒場で、ゼイルさんにも初遭遇しましたね。


 ──……私の第一印象については触れたくないんですが、そのRPしちゃおっかなと思ったのは、やっぱり本に影響あるんじゃないかなと思った結果?

 うん。UO世界前提の話以外は書く気はなかったので、その世界を肌で感じるならRPかなーと。
 プレイヤー酒場とかあんま行ったことなかったし。


 ──そこでの経験って、今、作品に生かされてると思う?

  生かされてるんじゃないかな?
  普通のことして変わらない日々でも、楽しく生きれるよ、冒険冒険の日々じゃなくてもいいんだよ、ってのは感じた。
  あとは、誰しも勇者になりたいわけではなさそう、ってのがわかったかな。



○一月一冊!

 ──なるほど。じゃぁ、これまでどれくらい作品書いたの?

  今現在売ってる本が……たしか、27作くらいだった気がする。
  ベンダ1体に10作で3体居るし、3人目は半分ちょっとになってたかな。

  あと、ベンダに置いてない本が1冊。以前おまけで書いた本……かな? たぶん。


 ──二年半ってことは、30ヶ月ぐらいだよね。ってことは月1で1作書いてる計算だよ!?

  今は全然できてないけど、去年くらいまでは月に1作、新作出すのが目標だったからねえ。質より量って感じ。

 ──月1で書くことによって何か得られたものとかってある?

  集中力!

  だいたい一晩で一気に書くからね、22時くらいから書こうと思ってだらだらして、24時くらいになってやっと書き始めて。
  やべー、寝る時間なのに! ってなりながら書く。


 ──で、結局書きあがるのは?

  3時とか4時とか(笑)

 ──余裕で寝る時間オーバーしてるよ(笑)

  でもって、書けたーっていう達成感で、なんか軽くハイになってるからさらに寝付けない。というのが、去年までは月に1回であったよ……。

  そもそも、1日で書きたい理由てのがあってね。
  いつも頭の中で練って練って、スタートからゴールまで頭の中で何度も繰り返し想像して、よしってなってダダダッて書くん。
  だから、途中で寝ちゃうと忘れるんだよね。


 ──なんか中華料理みたい(苦笑) 下ごしらえに時間かけてで、火を入れたら一瞬!

  そんな感じかも!(笑)
  うんで、こりゃいかんと思ったわけですよ。


 ──で、今は極端に書いてないという状態と。

  去年のうちにそういう書き方を直そうと思ったんだよね。
  まあ頭の中で考えるから、考えられる話の長さにも限界があったんで、あえてすごい長いのを書いてみよう、と。
  一日じゃなくて数日にわけて少しずつって思って書いたのが、UO三題噺に出した『During travel』っていう作品。

  そして、その頃からUO三題噺に文章量の規制がはいりましたね……。


 ──あの作品って、文字数どれくらい?

  18000文字くらい、かな。この本、UO本に編集する気がおきなくて売ってないなあ。


○長編、短編、どっちが良い?

 ──18000文字っていうと、青本でいうとだいたい7冊ぐらいだよ。

  なっが!(笑)

  まぁ、書き上げたという満足感は得られたわけですが、じゃあ実際こんな長いの読みたいか?
  そう思うと、私は短くてあっさり終わるほうが好きだと思ったわけですよ。


 ──そうだね。長くても青本3、4冊が限界かなと個人的にも思うよ。

  うん。例えば、ボス待ちしてる5分の間にさらっと読めたりとか、ほんの暇つぶしになる本でいいと思ったのよ。

 ──でもさ、短編ばっかりだとネタが尽きてこない?

  そこはもう自分のネタ箱との勝負だよね。

 ──まぁでも、キリルさんは結構面白いモノの見方してるから案外困らないんじゃないかなと思うけど。

  そかなあ?

 ──本を作るときのプロット段階でのやつで、ドアの悪魔とか納屋の地下組織とか、単純に面白いなと思ったよ。

  そかー。
  なんて言うのかな……システムをシステムじゃなくこういう風に脳内補完してるんだけど、ってのが言ってみたかったから書いてみた感じかな。
  昔、これもUO三題噺に出した作品で『魔法の言葉』ってやつがあるんだけど、その中に出てくるスカラブレイの渡し舟は、動いてるかどうかで友達とずいぶん言い合ったよ。
  それも真夜中に。


 ──真夜中かよっ(笑)

  深夜、書き終わって「これかいたんだけど!」って見せてさ。なんで船動いてないの? って言われて。

  いや、動いてないじゃん、いや動いてるって! じゃあcrossってなによ、それはシステムだから云々。
  だからシステムとかはいいんだって! 動いてないんだから動いてないんだよ! みたいな感じで凄い白熱したんだよね。


 ──でもあそこさ、なんかロープみたいなの張ってあるから、きっと船頭さんがそれを持って引っ張っていってんじゃないかと。

  そういう人それぞれ"見えてない部分"をどう感じてるかって違うんだなって、おもしろいなと思ったのはその時だったな。


○昔の作品は振り返る?

 ──たしかその作品って第一回のUO三題噺に出したやつだよね?

  もう見るのも恥ずかしい!

 ──自分の作品を読み返さないほう?

  ううん。特定の話しは読み返すよ。

 ──その読み返すのは、作品で何か迷ったときに見るの?

  読み返すのは初めて書いた話しなんだけど、それまで全然書こうと思ってなくて、それどころか自分に書けるとも思ってなくてね。話を書くのは特別な人だと思ってたわけ。
  でも、ある日ぼーっと前日にUOであったことを思い出してて、これ話しになるんじゃ? って思ってそこから一気に書いて、速攻友達に見せた。「これ観て!」って。


 ──その人の反応は?

  その人はまあ、いいんじゃね? みたいな、そんな感じだった気が……。

  でもなんか、「書いてみたいけど、自分に書けるわけがないよね」ってのが「私でも書けるかも!」ってなって。
  それからもう1作くらい書いて、よし、本格的にやってみようと思ったから、きっかけとか色々含めて、初めて書いた本が一番だと思ってる。


 ──それを読むと、その頃の情熱とかそういうのが蘇ってくるんだ?

  情熱っていうか、話のネタって何気ない自分の行動から生まれるんだよな、って思える。

 ──なるほど。ところで、今聞いてて思ったんだけど、1作目はリプレイ風?

  全然。
  なんか今って、ログアウトしたら厩舎にペット勝手に入るじゃん?
  だからペットを家におきっぱなしにしてて遊んでたわけよ、厩舎にいれずにいつも。どうせいらないしって思って。
  で、ある日家に帰ると、野生化してたわけですよ。


 ──もう構ってくれないし、ご主人なんて嫌いってされたわけか(笑)

  そうそう(笑)
  まぁ、別にいらないし野生化のままでいいやって思ったんだけど、でもやっぱそのまんまにできなくて、リテイムしたわけですよ。
  それがなんか、いらないって思ってたしゲームなんだけど、やっぱ迷いながらリテイムしたときに確実に自分の心は動いたわけよね。その動物に。


 ──自分がデータと思っていたモノに、生を感じた瞬間だったわけだね。

  そういうのが初めてだったから記憶にすごい残ってて、そのことを書いたわけよ。
  そういう物の見方が、自分にもできるんだと感じたんだよね。


 ──なるほどね。ちなみなんだけど、UO以外のネトゲやった経験は?

  それはある。

 ──じゃぁ判ると思うんだけど、ペットの話しも含めて、ここまで生活感があるのはUOだけだと思うんだよね。
    だからこそ、本を書き始めた感じはあるんじゃないかなと感じたんだけど、その辺はどうかな?

  そうかも知んない。
  まあ、洋ゲーやればまた違うのかもしれないけど、やっぱりベースが全然違うね。



○経験があるから出来る事、難しい事

 ──なるほど。では、書き始めて2年半になるけど、書いてて良かった! って思う瞬間って?

  うーん、なんだろ? むずいな。

 ──じゃぁ、逆に辛かったことは?

  書きたいと思ってるけど、良いネタがないとき。そういうときは、ブログ更新して気持ちをやりすごすっ。

 ──最近ブログ更新に、なんか色々趣味趣向みたいなのが見え隠れしてるけど?

  そうかな。
  あういうことでも、書いとけば自分の思考の癖とか見えて色んなこと回避できるかなとか、思考順序を書きとめようかなとか、思って書いてみてる。


 ──去年まで必死に書いてきて、思考が雑然となってるから一旦整理したいってことか。

  特に去年書くのに追われてたというか、休みなく書いてた感じがするのね。
  だから今は、自分の思考の癖とか見つけてそこを変えたりしたら、また違う感じの話書けるようになるんじゃないかなと。


 ──やっぱり、自分が書いてるやつって何となく『自分臭』がしちゃうよね。

  するする!
  特に編集してるときとか、一番思うよね。やっぱこうかよ! みたいな(笑)
  なんかこう教訓まがいなえらそうな話になるんだよね、もう、そんなのどーでもいいよとか思っちゃうもん。後で自分で見て、ね。


 ──私は推敲しないで適当に書いた本とか、改めて読むと癖ばっかりでビックリしちゃう。

  私は逆に、今は適当に書きたいって思うかな。

 ──2年半も書き続けた経験値みたいなのが邪魔してて、上手くストレートに表現できてない?

  かもしれない。
  長く書くのもやめて、文章の書き方みたいなのも気にしないで、単純にUOであった何気ないことを書きたいなって思う。
  変な山も作らず、谷も作らず、ただ淡々と。


 ──言い回しとか、情景説明とか思ったままに書いたとして、たぶん、あとでムズムズってくると思うんだけど。

  そうねえ。
  書き始めのときって一人称ばっかだったので、それから書き方とか見て三人称で書くようになって。
  でも今はまた、一人称ばっかになったな。



○最後に

 ──じゃぁ、最後の質問。キリルにとってUOでの作家生活は、現実にどう影響してる?

  そうね……。真面目に答えると、文章を書くってことが癖ついたことは大きいと思うね。
  あとは、物事を組み立てたりとか、UOの中のただの文章書きだけど回数やると意外と慣れてきて、他のことでも考えて書けるようになった。


 ──なるほど。普段のメールとか、そういう所とかでも活かせている感じかな。

  話を相手に伝えるときとか、相手にどうやって言ったらわかりやすいかなと考えるのと近いと思う。
  結局、話すのも文章も組み立てだからねえ。


 ──ちなみに、真面目じゃない答えだとどうなるの?

  真面目じゃない答えだと、どんな話書こうって思うと現実逃避できるからいいね……。

 ──苦労してるんだね(苦笑)

  5分の現実逃避で作業がはかどるならいいじゃないか!
  その5分の積み重ねで本が1冊できるならいいじゃないか! と、思う。


 ──正直、自由に気兼ねなく書けるっていう環境はそうないから、そういう意味では良い練習場所になってるのかな?

  ブログにのってる文章とか、現実逃避の積み重ねだよなとか思うもの。
  後から読み返して、現実逃避してんなあと実感する(苦笑)



○インタビューをしてみて

 まず私が驚いたのが、彼女のバイタリティー。
 本を書いたことが、いや本でなくとも何か文章を書いている者なら判ると思うが、月1で本を一冊仕上げるというのは正直大変だ。

 それを彼女は一年以上もやり遂げている。
 書くたびに想像を活字にすることの大変さを痛感させられている私としては、一月一冊書き上げていると知ったときに衝撃を受けたのを覚えている。

 彼女の作品で、私が好きなのは「Demon Of Door」。
 彼女の発想力は、ユニークで面白いなと思ったのがこの作品。
 考えたことがあるだろうか、扉が何故勝手に閉まるのか。
 そこに気づき、それをブリタニアテイストに作品を仕上げる独創性がキリルさんらしく、読めばもっとブリタニアの世界を好きになると私は思う。
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by fayshess | 2008-07-01 22:47 | Interview


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